中部地方に被害をもたらす地震には、太平洋側の海底に震源をもつ海溝性巨大地震と内陸直下型地震とがあるが、本研究では後者を研究対象とし、内陸直下型地震が生起する地盤災害の予知と防災を研究目的としている。 内陸直下型地震は再来周期が長く、時空分布の把握が大変困難であるが、本研究では、構造地質学の立場から、内陸直下型地震の発生と中部日本のテクトニクスとの関連を解明し、地震が引き起こす種々の地盤災害の発生箇所・規模・斜面崩壊様式とテクトニックな環境との関連を解明するために、本年度は現地地質調査と資料収集を中心として下記の研究を行った。 1.中部日本の大規模活断層である柳瀬断層、根尾谷断層、跡津川断層および阿寺断層について、それら活断層と広域テクトニクスとの関連を論じた論文、地質調査結果等の資料収集を行った。 2.岐阜県恵那郡付知町周辺地域で、阿寺断層に関する地質調査を行い、断層の分布および断層に伴う基盤岩の変形や構造を調査した。 3.中部地方で過去に起きた内陸地震と地盤災害に関する資料を収集し、これらに基づき、中部地方に被害をもたらした歴史地震の時空分布と活断層との関連を調査した。 4.内陸地震で誘発された地盤災害の様式と種類などを分類整理し、テクトニックな環境との関連について考察した。
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