本研究は、1993年鹿児島豪雨災害における崩壊・土石流の規模と到達距離の推定法を明らかにすることを目的としたものである。 まず、1993年災害後に撮影された吉田町および垂水市の空中写真から、崩壊面積、土砂の流動・到達範囲、崩壊個数、勾配などの地形特性を調べ、崩壊土量、崩壊密度などを求めた。 次に、学習データとして、1976年から1992年までの時間雨量データおよび土砂災害記録を吉田町と垂水市について収集した。1976年から1992年までの時間雨量データと土砂災害の発生・不発生のデータを与えて1993年の発生予測を行った。 最後に、崩壊・土石流の到達距離を明らかにするため、水路実験を行った。まず、勾配が30°〜40°の斜面で崩壊・流動したものが多いので、急勾配における抵抗則を調べた。次に、停止時すなわち低速流動状態の土石流の抵抗則を調べた。すなわち、急勾配水路の下流端に同じ幅の水路をヒンジで接続し、上流側は30°〜40°に、下流端は2°〜10°の勾配にそれぞれ設定して、上流水路から下流水路へ土石流を突入させ、停止過程を調べた。以上の結果、流動および停止時の運動方程式、連続の式を決定した。この運動方程式、連続の式を1993年の災害地に適用し、崩壊・土石流の到達距離を推定して、実際の場合と比較した。
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