本研究は、長期化・大規模化した雲仙普賢岳の火山災害の被災地島原市を対象として、噴火活動が続くとの前提に立った復興のあり方を調査研究したものである。調査は、災害基礎資料の収集、住民および行政へのヒアリング、アンケート調査、各種の委員会での議論、他都市の事例によった。これらの調査から、防災計画、復興計画および火山災害危険地における社会基盤(道路、鉄道、都市下水路、ライフラインなど)の整備のあり方を明らかにした。得られた成果をまとめると、 1.火山災害危険地における防災計画、社会基盤整備のあり方を火山噴火のシナリオ、ハザードマップの作成、地域防災計画の策定の一連の防災対策の考え方のもとで整理した。 2.雲仙普賢岳の噴火災害における社会基盤施設の被害、応急復旧、復興対策を詳しく調査して、火山災害のおそれのある市街地の社会基盤整備のあり方をまとめた。 3.噴火活動が継続中に策定された復興計画を噴火が終息したことを受けて見直し、行政が策定する島原地域再生行動計画、砂防指定地の利活用の策定、災害遺構の保存検討などに反映された。 4.雲仙普賢岳の噴火災害を通じてまだ調査されていなかった通行止め時の交通コストの増大、通勤・物流動態、応急仮設住宅の住環境を解析もしくはアンケート調査によって明らかにした。
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