| 研究概要 |
本年度は2年継続研究の2年目に当たるので,研究計画に基づき,沖縄本島中南部地域を中心に,前年度と同様の調査手法でチリ津波およびその他のこれまでの海岸災害に関する調査を実施した。なお,研究期間中の海岸災害については,発生メカニズムの解明という点から現地調査を実施した。また,本年は計画研究の最終年に当たるところから,2年に亘る研究の取りまとめを行った。具体的な内容は以下の通りである。
1.海岸災害資料については,琉球大学付属図書館および県立図書館収蔵の新聞や郷土資料が中心で,地域によっては,災害当時の担当職員が個人的に保存しているケースがある。
2.チリ津波災害については,沖縄本島北部地区に比べ中南部の被災の程度はそれほど大きくない。この原因については今後さらに数値シミュレーション当による検討が必要であるが,海底地形の要因が大きく影響していると考えられる。
3.沖縄本当中南部に関しても,チリ津波災害についての学術的な調査報告等は見当たらなかったが,中部地区の与那城・勝連地域の郷土誌に津波襲来初期のかなり詳しい記述と写真があり,数値計算の検証に役立つものと考えている。
4.沖縄本当中南部における主要な海岸災害は,台風襲来時の異常な水位上昇に伴う冠水・漁船等打ち上げ,エプロン洗掘等で,その原因はほとんどが段波状サーフビ-ト(波群津波)によるものと考えられる。
研究成果は,これまで海岸工学論文集および琉球大学工学部紀要で公表したが,本研究継続分については海岸工学論文集に投稿予定である。
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