研究概要 |
昨年度はアルベーン波の励起方法を確立して,ULQプラズマに波動を励起し,その伝搬特性から伝搬波動がアルベーン波であることを確認した. 今年度は更に複雑な磁場配位をもつ逆磁場ピンチ配位(RFP)プラズマを対象にして波動を励起した.波動はトロイダル方向に120°離れた2ヵ所に電極を挿入し,電極間にキャパシター放電を行うことによって励起した.励起部からトロイダル方向に180°離れたポートに磁気プローブを挿入して伝搬波動を観測した。励起波形と伝搬波形の位相差から位相速度を求め,それが半径方向でどのように変化しているかを調べた.同時に波動振幅の半径方向分布も測定した.その結果,位相速度は予想に反して半径方向に一様に分布しており,その値は(2-4)×10^5m/sであることがわかった.一方,波動の振幅もトロイダル磁場反転面以内では,ほぼ一様に分布していることが確認された.波動を励起する電流はトロイダル磁場の逆転位置よりも外側にあることを考慮すると,上記の結果は,励起電流がプラズマ断面全体を同位相で伝搬するm=+1モードのアルベーン波(速波)トロイダル固有モードを励起していることを示している.m=+1モードのアルベーン波(速波)はプラズマと真空容器との間に真空領域が存在する場合に伝搬が可能になるモードである.RFPプラズマに対する波動実験は初めての試みであり,このような実験結果も初めてのものである.今後,波動とイオンおよび電子との相互作用が期待できる周波数領域で更に詳細な実験を継続していく予定である.
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