研究概要 |
今年度は昨年に引き続き、大振幅静電波を励起する実験を行うとともに、ソリトン的モードの励起実験をするために新たな閉じ込め実験装置を製作し、以下のような成果を得た。 (1)同軸多分割円筒電極群を用いたPenning Trap型の閉じ込め方式で、長さ20cm、密度10^7〜10^8cm^<-3>の非中性電子プラズマを″静かに″安定に閉じ込めた。その多分割円筒電極群のひとつに直接高周波を印加して低(1,m)モードの静電波を励起し、その印加高周波電圧を大きくしてゆくとある閾値以上で別の(1,m)モードに遷移する現象が現れる。これは電磁波動と荷電粒子との非線相互作用による現象である。温度、密度、波動振動などのパラメータをいくつか変えて実験を行い、その周波数分岐を総合的に調べた。 (2)電極に直接高周波を印加するのではなく、変調された電子ビームを軸方向に入射することにより,大振幅の静電波を励起することもできる。低(1,m)モードに対しては共鳴的な成長率を示すことがわかった。 (3)ソリトン的モードを探すために低(1,m)モードの静電モード波の短パルス応答をいろいろのプラズマパラメータにおいて調べたが、既存の装置でははっきりとした波形は得られなかった。長いプラズマ長と短い印加パルス波が必要不可欠であると考え、新たに長いプラズマを形成できる装置を設計、製作した。この装置は軸方向に41個の円筒電極群を有し、周方向に8分割された電極部を3箇所持つ。これにより長さ80cmのプラズマを作ることができ、また、時間エコーの実験も可能になると期待される。
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