研究概要 |
1.キャビトンとは、プラズマ中の高周波振動(ラングミュア波)の包絡ソリトンの一種とも言える局在化したプラズマ非線形波動である。非線形効果(ポンデロモ-ティブ力)により生じる低密度部位に高周波振動が捕捉されていることが特徴である。強いラングミュア擾乱においてはキャビトンが本質的な役割を果していることが知られている。 2.密度勾配があるプラズマ中に、低密度側より大出力マイクロ波(周波数3GHz,最大ピーク電力60kW)を短パルス(約1μs)で入射すると、共鳴点(n〜10^<11>cm^<-3>)にキャビトンを生成することが出来る。キャビトン生成に伴い、共鳴点付近に静電電気二重層が発生することを発見した。 3.キャビトンの生成に伴い、その位置付近に浅い負のポテンシャル・ディップが生じる。この負のポテンシャル部位によりバックグラウンドのプラズマ電子が両方向に反射されるようになり、時間の経過とともに電気二重層様のポテンシャル構造に発展することを見出した。 4.上記の過程において、イオン音速程度の速度で移動するイオン・ホール(位相空間中でイオンが局所的に欠如している部分)がキャビトン付近で発生した事を示唆するデータを得た。電気二重層様のポテンシャル構造形成過程における、このイオン・ホールの役割を今後さらに解明して行く予定である。 5.電気二重層のポテンシャル差(バックグラウンドの電子温度の数倍程度)は、マイクロ波の入射時点から0.5μs経過したあたりでほぼ飽和すること、マイクロ波のピーク入射電力にほぼ比例することを見出した。 6.1次元粒子モデルによるコンピューター・シミュレーションの結果は、基本的に実験結果と矛盾しない事を見出した。2次元コードに拡張するなどしてより詳細な検討を進める計画である。
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