| 研究概要 |
鉄シリサイド系熱電変換セラミックス材料の性能向上を目的として,プラズマ処理効果の物性論的解析を行なうと同時に,シラン,ゲルマンプラズマ処理効果を検討した.その結果,以下に示すことが明らかになった.
(1)シラン,ゲルマンを用いたプラズマ処理によって,電気伝導度が向上することが明らかになった.また,ゲルマン処理では,熱伝導度が低下する.したがって,プラズマ処理により,熱電変換効率が上昇することが明らかになった.
(2)ホール移動度の測定から,プラズマ処理はキャリヤの移動度を上昇させることが明らかになった.
(3)熱電性能が向上した鉄シリサイド試料の電子スピン共鳴測定から,プラズマ処理は不純物マンガンイオンの価数を変化させることが明らかになった.
(4)これらの実験結果をもとにプラズマ処理効果の機構をモデル化した.そのモデルでは,プラズマ処理がセラミックスの粒界準位を消滅させると仮定し,簡単なモデル計算を行なったところ,実験結果をよく説明することが明らかになった.
以上の結果と解析から,プラズマ処理によって熱電変換セラミックス材料の性能向上を計ることが可能であること,特にゲルマンプラズマ処理で性能向上がより顕著であることが判明した.
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