研究概要 |
今回の研究では、ガンマ10セントラル部における荷電交換損失のプラズマ径方向・軸方向の分布を詳細に計測することを目的として、以下のことを行った。 1.高温イオンの荷電交換反応の相手方である中性粒子の密度を測定するHα線検出器を設置した。 i)ガンマ10セントラル真空容器内に、3個のHα線検出器をミッドプレーンから磁力線方向に沿って、z=-10mm,-710mm,1410mmの位置に、斜め上方からプラズマ中心軸に向けて設置した。またガンマ10東側ミラースロート部(z=-3070mm)にも、上方から新たに製作したHα検出器を設置した。Hα線検出器は、真空窓、Hα線用干渉フィルタ、レンズ、反射鏡、光ファイバー及び光電子増倍管から構成されており、プラズマからの発光は、真空窓を介して干渉フィルタにて分光された後、レンズにて光ファイバーの入口上に集光される。光ファイバーの出口は光電子増倍管に直結されており、Hα光強度は電気信号に変換され、データ処理系に伝送される。 ii)上述のように、真空容器内に検出器を設置して、光ファイバーを介して測定する方式を採用する事により、従来の検出器に比較して、1桁程度高いSN比を達成することが出来た。 2.以上の検出器を用いて、セントラル部のプラズマのミッドプレーンからミラースロート部にかけての軸方向のHα線強度分布を測定した。 i)放電初期において、セントラル部周辺から水素ガスを導入した場合、Hα光の軸方向分布は、端部近傍のHα線強度の変化が強く、中央部に向かって減少していることが判明した。このことから、水素ガスは軸方向に沿って拡散し、中央部近傍まで影響を及ぼしている事が分かった。 ii)一方スロート部にガスを導入した場合は、スロート部のHα線強度のみ強く、その他の検出器には影響が殆ど観測されなかった。従って、この場合には水素ガスは、スロート部周辺に局在化しており、セントラル部のプラズマの維持に寄与していることが裏付けられた。 以上の結果から、高温プラズマ生成に関わる中性粒子密度の軸方向分布に関する、新しい知見を得た。
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