計3年間の本研究により、燃料ペレットの磁気懸架を爆縮実験に用いるための基礎技術を確立した。これにより爆縮の均一化への見通しを得た。以下に主たる成果をまとめる。 1.磁気懸架 ・摂動によって燃料ペレットに水平方向の振動が発生した場合、その振動を緩和するために光作用力を用いたアクティブ・レーザー・ダンパーを考案した。そこで用いる光作用力の発生機構を解析し、高真空から高圧力(10^<-3>〜10^5Pa)においてラジオメータ力と光力が働いていることがわかった。アクティブ・レーザー・ダンパーの実験を行い、水平方向の振動緩和時定数を圧力1Paにおいて1/10以下にまで短縮できた。 2.ペレットの製作・検査 ・燃料ペレットのNiコート法として新たにレーザー・アブレーションコートを行い、ポリスチレン製の燃料ペレットに対して低温で均一なNiコートをできる見通しを立てた。 ・下記の電界浮遊を応用して非接触な高精度質量測定法を開発し、燃料ペレットの質量を精度0.2μgで測定した。 ・分光光度分析を応用したNiコート厚の測定を行い、その厚さを精度5%で測定した。 3.電界浮遊 ・燃料ペレットの電界浮遊方式についても研究を行った。この方式ではNiコートが不要である。リング電極を採用することで、全立体角に対するレーザー照射が可能な立体角85%を確保した。帯電装置と電界浮遊装置とを連動させることで、10^5〜10^3Paの真空度における燃料ペレットの電界浮遊が可能となった。 4.爆縮の均一化 ・極低モードのレーザー照射の非一様が爆縮に与える影響が大きいことが指摘されている。本研究の磁気懸架によって、ストークスによる極低モードを解除できる見通しを得た。
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