本研究の目的は、磁気面の乱れをフラクタル次元を用いて定量化すること、及び磁気面の頑丈さを決定する要因は何かを考察することである。本年度は、科学研究費補助金で購入した高速のワークステーションを用いて、各種磁気容器磁気面断面のフラクタル次元の算出と次元の値と磁気面乱れの関係の考察及び有限ベータでの磁気面の変化を磁気軸に着目して計算及び考察をした。その結果、今回計算した数種類の磁気容器に関して、以下の知見を得た。 1.乱れた磁気面断面のフラクタル次元は、1.2以上となる。 2.磁気面を構成する磁力線のポアンカレ断面図は、カオスにおける円写像の方程式で近似でき、乱れた磁気面の円写像パラメータKは1以上となった。これは、円写像がカオス的となるKの値1以上に対応している。 3.外部より擾乱磁界を加えた場合、磁気面は主として、磁気島の近傍から乱れ出す。 4.2重螺旋構造のヘリカルヘリアックでは、ヘリカルコイル軸のシフト半径を大きくすると、有限ベータでの磁気軸の外側シフトを抑制することができる。従って、磁気面の乱れも抑制される可能性がある。 今後は、1、2に関しては、より多くの磁気容器を対象として計算するとともに、何故そうなるのかについて、理論的考察が必要であると考えている。また、3に関しては、外部から加える乱れ磁界を、有限ベータでのプラズマ電流により生じる磁界に近いもので計算することが重要であると考えている。最後の4に関しては、磁気軸の外側シフトの評価だけでなく、磁気面の乱れを実際に評価することが重要だと考えている。以上のことを踏まえて、平成8年度は研究を行う予定である。
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