研究概要 |
本研究は、高エネルギーイオンなどの非マックスウェル成分に対する新古典輸送理論で概観できる.このような観点から本年度は以下の研究を行った. 1.前年度までの研究で、バウンス平均したピッチ角散乱項の固有関数や固有値を用いて、高エネルギーイオンの径方向フラックスやブートストラップ電流が無限級数の形に表せることが分った.しかし,トカマクなどの軸対称系磁場配位に対しては、バルク粒子の輸送係数が比較的簡単な形に書けるのと比べると,この無限級数で表された輸送係数は余り使い易いものではない.例えば,輸送コードに組み込むことなどを考えると;径方向の各点で固有関数や固有値を計算しておかねばならず,多くのコンピュータ資源を消費する.本年度は,この無限級数で表現された輸送係数に対する解析的な近似式を求める研究を行った.その結果、変分法やPade近似を用いてマルファー粒子の輸送係数に対する解析的な近似式を求めることに成功した.この近似式は,全て初等的な関数を用いて表現されており,簡単に計算できしかも大変に精度が良い.このため輸送コードに組み込むことも容易である.また,バルブ粒子の新古典輸送理論はモーメント法を用いると流体力学的な枠組で取り扱うことができるが,同様な取り扱いがアルファー粒子の新古典輸送理論に対しても可能であることが分った. 2.前年度行った,非等方な温度をもつプラズマに対する新古典輸送理論の拡張を行った.前年度はバナナ領域でこの非等方プラズマの輸送係数を求めたが,本年度はこれらをプラトー領域で行った.また,これらの領域の結果を内挿し、輸送係数に関する、バナナ領域からプラトー領域の全域で成り立つ表式を求めた.また,これらを用いて非等方性や径方向電場が輸送係数に与える影響につて調べた.この非等方プラズマの研究で新しく提唱したモデル衝突項などの詳しい内容については研究成果報告書を見て頂きたい。
|