研究概要 |
1)既に開発している弱塩基性アニオン交換体によるカラム濃縮と遠心分離を組み合わせた吸光度測定によるフミン酸とフルボ酸の分別定量法を用い,琵琶湖,淀川水系河川水のフミン物質の分析を行い,河川水中での動態,濃度の季節変化及び起源(自然起源か人為起源か)について明らかにした。 2)環境水中のフミン物質濃度は希薄なため,1)の吸光光度法では濃縮しなければ測定できない。これを蛍光検出法にかえることにより高感度となり,従来法のように長時間濃縮しなくても分離のみでフミン酸とフルボ酸の迅速・簡便な定量が可能となった。この蛍光検出を高速液体クロマトグラフィーと組み合わせ,ゲルカラムにSuperose 12HRを用い,溶離液に0.01N水酸化ナトリウム溶液を使用すると,イオン排除・吸着等の二次効果なしに環境水中のフミン酸とフルボ酸を良好に分子量分画することができ,濃度測定と分子量分画が同時に可能となった。 2)で開発した方法を用い,淀川水系河川水中のフミン物質濃度の分析を行い,従来法の吸光光度測定で求めた濃度と比較を行ったところ,両法はかなり良い一致を得た。またフミン物質の分子量分布は季節変化があり,冬よりも夏の方が高分子量の割合が高いことを見い出した。これは水温とフミン物質の溶解度の関係によるものと推定される。 これらの成果の一部は既に環境科学会及び日本分析化学会で発表し,現在論文として投稿準備中である。
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