球座標系による非定常編微分方程式で記述した雨滴内の支配方程式を用いて、SO_2ガス吸収による雨滴酸性化のダイナミックスを数値シュミュレーションし、酸性雨生成のメカニズムを検討した。シミュレーション結果によると酸性雨生成の初期にはSO_2の雨滴内で解離反応により生じるHSO_3-イオンが重要であり、時間の経過とともにHSO_3-イオンの酸化によって生じるSO_<42>-イオンが重要な役割を演じる事を明らかにした。更に、この支配方程式の集中化により計算時間の短縮を計り、小さい雨滴径の霧雨における高い酸性度の出現を数値シミュレーションする事を可能にした。その成果は、第50回土木学会、環境科学会1995年会において発表したが、7th.Int.Conf.U.S.D.、およびENVIROSOFT96においても発表の予定である。 また、非定常編微分方程式による酸性雨生成モデルに帯電化学種(イオン)の拡散の結果生じる電位勾配によるイオンの泳動の酸性雨生成への寄与を数値シミュレーションし、その効果について考察した。その結果イオンの電気泳動により酸性雨の生成が促進される事が明らかとなった。また、このモデルと前述の電気泳動項を含まない編微分方程式系のモデルおよびその空間的集中化を行った常微分方程式系のモデルとの比較検討を行い、とくに集中定数系のモデルは霧雨の酸性化の数値シミュレーションには効果的である事を明らかにした。
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