研究概要 |
世界的な環境問題の一つである陸水域での藻類の異常増殖現象に関連して、筆者らは、愛媛県下の石手川ダム湖における長年にわたる定期的調査の結果、ダム湖の7月から9月までの表層水のクロロフィルa濃度の平均が5月の表層水の電気伝導度と5月の平均気温の重回帰式で予測されうることを認めた。本研究はこの知見を発展させること、特に、電気伝導度が代表する物質を特定することを目的とする。 1.本年度は、1983年以降毎月一度行っている石手川ダム湖の調査を続行して、次の結果を得た。 (1)予測式 logC=27.7E+0.38T-8.14(R^2=0.77)の有効性を確認した。ただし、Cは水深0.5mのクロロフィルa濃度の7,8,9月の平均値(μg/l)を示し、Eは5月の水深0.5mにおける電気伝導度(mS/cm at 25℃)を示す。Tは5月の月平均気温(℃)を示す。 (2)特に、新知見として、夏の還元発達に伴って生成するなんらかの物質がクロロフィルa濃度の実測値を予測値より低下させることが推定された。 2.目下、予測式が成立する機構についての仮説を、藻類のリン栄養とアルカリ土類金属との関係を考慮して構築している。 3.2の仮説の検証実験に用いるために、湖水から藻類の単離を試みた。
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