交付申請書に記載した研究目的を要約すると、青森県下における^<14>C年代測定や環境試料の^<14>C濃度測定および環境水中のトリチウム濃度測定の質的・量的向上をはかるために、試料処理法の改良研究を行うことである。そのために、平成7年度の研究実施計画に沿って研究を実施し、以下の結果を得た。 1.^<14>C試料処理法としてストロンチウムカ-バイドを経由する方法では、カ-バイド生成とアセチレン発生を同一反応管で連続しておこなうように反応管の構造を改良した結果、収率が向上し、作業時間も短縮された。なお、この際、アセチレン発生作業時間が短い方が、収率が上昇する傾向がみられたので、この点に着目して、さらに、装置の改良を進めている。また、リチウムカ-バイドを経由するカ-バイド・アセチレン反応管を設計し、製作が完了した。今後、この反応管を用いたベンゼン合成をおこない、その特性を調べていく予定である。 2.^<14>C炭素試料の不完全燃焼を押さえるために、流量計を取り付けて一定流量の酸素気流中で燃焼をおこない、かつ、銅とマンガンの混合酸化触媒を水冷して使用した結果、二酸化炭素生成収率が向上した。 3.固体高分子電解質を用いた環境水の電解濃縮装置を試作した。発生ガスを一本のパイプから放出させる型の装置では、トリチウム回収率が、これまでに報告されている値よりも高い値を示しており、この点の確認を急いでいる。なお、電解装置はガスの放出部分を除いて閉鎖系としたため、試料水の蒸発や室内空気に含まれる水分の吸着により水量の変化がほとんどみられず、また、電解量は電子天秤によって重量変化として測定するようにしたため、測定精度が向上した。 4.以上のほかに、本研究に関連した青森県における環境放射能動態解析の一環として、青森県六ヶ所地区で採取した農産物・海産物の^<14>C比放射能についてのノートを発表した。また、東通村のひば埋没林の^<14>C年代などについて考察した。
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