1)_<14>C測定における試料処理法 リチウムと炭酸ガスの反応によるアセチレン化リチウムの生成について、反応管の温度を調節することによって、生成収率が80%程度まで向上することを確認した。さらに、炭化試料とリチウムの直接反応によってアセチレン化リチウムを生成する方法を試みた。この方法によるアセチレン化リチウムの生成収率は、現在、約50%であるが、化学処理工程において炭化試料の燃焼、炭酸塩の生成が省略されるため、従来の方法よりも総合収率は向上し、作業日数も短縮される。 2)トリチウム電解濃縮法 試作した電解濃縮器を用いて、電解電流5Aで濃縮実験をおこない、体積減容倍率10倍のとき、トリチウム回収率が80%を越えることを確認した。さらに、電極面積を増やし、発生ガスを分離して放出できる濃縮器を試作し、電解電流10Aでの濃縮が可能となった。ただし、投入電力の増加によって試料水温が上昇するので、水槽内の熱媒体の温度ではなく、試料水温を測定して、これをフィードバックすることにより一定化する方式を試みている。また、今後、負電極材料と回収率の関係、投入電力の軽減、濃縮器の2台同時動作実験を計画している。 3)青森県における環境放射能動態解析 青森県における降水および環境水のトリチウム濃度について、1990〜1993年に調査した結果を八戸工業大学紀要等に発表した。それによると、降水のトリチウム濃度は春季にやや高く、秋季にやや低い傾向を示した。また調査地域の環境水は4つのグループに大別できることが判明した。
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