平成9年度は主として^<14>C炭化物試料の迅速処理法について研究をおこなった。炭化物資料と金属リチウムの真空中での直接反応によって、アセチレン化リチウムを作成することが可能であり、得られたベンゼンを試料として測定した^<14>C年代は同一試料について、従来の方法によって作成した試料についての年代値と計数誤差1σに対応する年代値の範囲で一致することを確かめ、第34回理工学における同位元素研究発表会で発表を行い、その内容をRADIOISOTOPES誌に投稿して受理されている。(47巻3号に掲載決定) その後、本方法の日常の試料処理に適用していく中で、反応管の加熱温度の調整によって、反応収率を約50%から約60%に上昇させることが可能となった。また、リチウム金属は炭素よりも酸素との反応を優先的に行うことが実験的に判明し、酸素の導入に注意を払うことによって、リチウム金属の消費量を減らすことが可能となった。これらの結果については、第35回理工学における同位元素研究発表会で報告する予定である。 固体高分子電解質膜を用いた環境水の電解濃縮については、濃縮装置の型によって回収率に差が出ることが明らかになった。そして、この点を考察することによって高効率電解装置の設計指針をある程度把握できたので、今後、これらの経験を踏まえてさらに改良を行っていく予定である。
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