研究概要 |
1.接ガス部が全て金属である質量流量コントローラーを本研究費で購入し、流量混合比法による標準ガスの希釈装置を組み立てた。市販の混合標準ガスを希釈し、ppd領域の低濃度ガスを発生させる予定である。 大気中に存在する25種類のハロゲン化炭化水素と、常温・常圧下で液体として存在するフロン、代替フロンについて、GC-MSの標準スペクトルを測定した。それらの溶液試料としての検出下限値は全イオンを測定するTIC法で30〜50pg程度であること、選択イオンを測定するSIM法では0.03〜2pgであること、フロンと代替えフロンの感度が高いことが分かった。後者のSIM法での値は、1リットルの大気を濃縮サンプリングするとして、0.01〜0.2pptの大気濃度に対応する。この値はカラムの長さ、膜厚、昇温速度等の分析条件に依存すること、大気試料導入系を経由してサンプルをGC-MSに導入するとピークの広がりが避けられないことから、実際の分析ではある程度感度が悪くなるものと予想されるが、141b、142bのような極端に低濃度のもの(数ppt)でも分析可能と思われる。 Kuwataらの報告を参考にして試料濃縮装置を組み上げた。これをGC-MSに組み込み、濃縮系を含めた検出下限の見積もりを行っているところである。試験的に大気の分析を行った結果では、二酸化炭素(CO_2)のピークが非常に大きく、分析の障害となるので、濃縮する前にCO_2を除去しておくのが望ましいことが分かった。したがってアスカライト等のCO_2除去剤の検討も必要となった。 吸着管については種々のカラム充填材について検討を行った。Sturgesのデータをもとに、3種類の吸着剤(HayeSep、Caboxen 1000, Carbosieve S-ll)からなるものを試作することになった。
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