研究概要 |
1.分析に必要な標準ガスとして、CFC-11、CFC-12、CFC-113を含む窒素ベースの標準ガス、HCFC-141b、HCFC-142b、HCFC-123、HCFC-22、HFC-134aを含む窒素ベースの標準ガス(いずれも約1ppm)を入手した。昨年度組み立てた標準ガス発生器を使用した場合、これらの混合標準ガスは濃すぎるので、1/100に希釈したものを調製中である。また、実際の試料分析においては二酸化炭素を除去せずに分析を行うことから、希釈ガスとして純窒素ではなく、大気濃度の二酸化炭素(360ppm程度)を添加した純窒素ガスを今後使用する事にしている。 2.CFC-113の標準溶液を調製し、検量線を求める実験を行った。分析カラムとしてSupelco社のVOCOL(内径0.25mm,長さ60m,膜厚1.5μm)を用い、フラグメントイオンの質量数(m/e)として151を選択した。その結果、ピーク面積と注入量(0〜2.0ng)の間に良好な直線関係が存在することが分かった。また、液体として入手できたフロンと代替フロンの標準溶液を調製し、重量相対感度を求めた。CFC-113を1とすると、その値はCFC-11(m/e=101)が1.87、CFC-123(m/e=83)が2.33、HCFC-141b(m/e=81)が1.51であった。 3.液体酸素を冷媒として、1段目にガラスビーズを充填した管を、2段目に内径0.25mmのステンレスキャピラリーカラムを使用して2段濃縮を行った。水分を除いた大気試料を用いて基礎実験を行い、CFC-113が9.2分に、CFC-11が8.1分に、CFC-12とHCFC-22が6.3分に、HCFC-141bが8.7分に検出されることを確認した。VOCOLカラムではCFC-12とHCFC-22を分離できなかった。上記2の結果を用いて東洋大学川越校舎で試験的に採取した大気の濃度を求めてみたところ、CFC-113が0.22ppb、CFC-11が1.0ppb、HCFC-141bが60pptと算出された。今後、除湿剤、二酸化炭素除去剤の検討及びキャニスターへの加圧サンプリングのためのポンプの検討などが必要である。
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