研究概要 |
1.内外の酸性雪(雨)に関するデータを収集した。県内各地の協力者に依頼し,雪や雨の試料を収集した。平行して新潟県が管理する村上,小千谷,湯沢,糸魚川の県行林及び新潟大学付属の佐渡演習林等へ実地調査に行き,現地で雪,土壌を採取した。同時に森林調査も実施した。 2.研究機関や個人から専門的知識の提供を受け,意見交換するために,富山大学,山形大学,埼玉大学,北海道大学,国立環境研究所などに出向いた。また,県内の有識者からも情報を集めるべく,平成7年11月4日に市民参加の「1995酸性雪(雨)シンポジウム」を開催し,また,日本雪工学会と上越市共催の「じょうえつ雪シンポジウム」にも参加した。更に,雪解け水に関係するアシッド・ショック現象を説明するための実験室的研究成果の一端を第12回日本雪工学会(H8/1/18-19,金沢市)で講演した。 3.森林調査地点は,1.で述べた地点とほぼ重複し,主としてスギ林で調査した。今回の調査では,数カ所スギの先端が枯れているもの,枯死したスギ等が見つかった。特に酸性雪,酸性雨による被害かどうかは現在検討中であるが,酸性雪,酸性雨による影響が濃厚であると判断されたものもある。市街地周辺の造林(スギ林)地や水源供給地の山岳林が危惧された。 4.酸性雪(雨)の採集と収集を行ないpH測定と陰イオンの成分分析を(分光光度計による比色法とイオンクロマトグラフ法により)実施した。pH測定の結果,試料数で雨の50%,雪では56.8%,新雪では78%が酸性と判定された。地理学的違いもよく現れていた。陰イオンであるの塩化物イオン,硫酸イオン,硝酸イオンを求め,地域別、雪・雨の種別による分類・比較を実施した。その結果の一部は,PACIFICHEM′95, Dec. 17-22, Honolulu, USAで発表した。 5.採取した土壌のpHや成分分析も現在鋭意実施中である。
|