研究課題/領域番号 |
07680576
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 文男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (10019672)
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研究分担者 |
石垣 靖人 金沢大学, 薬学部, 助手 (20232275)
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キーワード | マウス / 胸腺リンパ腫 / X線 / 突然変異細胞 / アポトーシス / 放射線抵抗性 / PCR-SSCP解析 / p53遺伝子 |
研究概要 |
昨年度の研究おいて、マウス胸腺リンパ腫由来細胞(3SB細胞)より、12腫のアポトーシス抵抗性クローンを分離することに成功した。そこで本研究では、さらに安定な5種の二次クローンを分離し、X線によるアポトーシス誘発動態を比較するとともに、p53を中心としたアポトーシス関連遺伝子の変化について解析した。 3SB細胞はX線感受性が高く、5Gy照射後24時間でほとんどの細胞が死滅した。一方、最も高い抵抗性を示した一つのクローン(1B1C4細胞)では24時間経過しても死細胞は出現せず、48時間培養した時点でようやく30%の細胞が死滅した。他の4種のクラスターは両者の中間の感受性を示し、このことはアポトーシスに特徴的なDNAの断片化反応おいても確認された。既に、がん抑制遺伝子p53が放射線誘発アポトーシスに関与していることが報告されているので、5種のアポトーシス抵抗性細胞についてp53遺伝子のホットスポット領域における変異の有無を調べた。まずRT-PCR-SSCP解析を行ったところ、3SB細胞と3種の抵抗性細胞では正常マウス細胞と同じDNA泳動パターンを示したが、1B1C4細胞と1D5-8細胞では変異の存在が示唆された。特に1B1C4細胞では、PCRダイレクトシークエンス法によりコドン238においてセリンからフェニルアラニンへの変異が検出されたことから、p53の機能の欠損が放射線誘発アポトーシスの抵抗性獲得に密接に関わっていることがわかった。実際、ウエスタンブロティングで見るかぎり、1B1C4細胞は長寿命の変異型p53蛋白質を産生しており、またp53特異的なDNA結合配列への結合能も失っていることがわかった。一方、他の4種の細胞では正常型のp53蛋白質を産生するので、放射線誘発アポトーシスにはp53に依存する経路と非依存性の経路があることが明らかとなった。
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