1.メチル水銀の無機化に関与する活性酸素種の検索及び無機化反応の細胞内局在の検討 メチル水銀投与ラット肝切片を培養して、メチル水銀の無機化をモニターした。培養4時間後に顕著な無機水銀の生成が認められるが、その生成速度はスパーオキシド産生剤であるパラコート添加で促進されたが、鉄イオンによる促進や、・OHスカベンジャーや鉄イオンキレート剤による抑制は認められず、無機化への・OHの関与が否定的な結果が得られた。そこで、活性酸素産生に寄与の大きいミトコンドリアの関与を考え、その電子伝達系の阻害剤であるロテノン、アンチマイシイA、CNイオンを用いて無機化と脂質過酸化の関係を検討した。その結果、ミトコンドリア内膜が主要な無機化の部位であることが示唆された。さらに、メチル水銀ラット肝の各細胞分画における無機水銀はミトコンドリアにおいて高い比率であった。ミトコンドリアの亜分画の結果は、ミトコンドリア内膜ではさらに高い比率を示した。以上、活性酸素種の特定には至らなかったが、メチル水銀の無機化反応は主にミトコンドリアの内膜に局在し、そこで産生される活性酸素が関与している可能性が示唆された。 2.メチル水銀の無機化に及ぼす加齢の影響 9週齢のマウスに比較して、40週齢のラットの肝臓における無機化速度は抑制されていたが、その原因を明らかにすることはできなかった。 3.食物成分によるメチル水銀の無機化の相違の検討. ラットを用いて、低蛋白食、高蛋白食給餌の影響の無機化反応に与える影響を検討したが、顕著な影響は観察されなかった。
|