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1995 年度 実績報告書

湖沼生態系におけるかび臭物質産生ラン藻類の異常発生における鉄の役割

研究課題

研究課題/領域番号 07680607
研究種目

一般研究(C)

研究機関岡山大学

研究代表者

中島 進  岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (60033122)

研究分担者 柴坂 三根夫  岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60226165)
キーワードかび臭物質 / ラン藻 / 湖沼生態系 / 鉄 / キレート化合物 / シデロフォア / ジオスミン / 2-メチルイソボルネオール
研究概要

各種の形態の鉄化合物,すなわちEDTA-Fe(III)、Bathophenanthroline(BPDS)-Fe(II)キレート、コロイド鉄(III)を用いて、調製したCT培地に、かび臭物質産生ラン藻Oscillatoria tenuis、Phormidium tenue(以上2種はMIBを産生)及びAnabaena macrospora、Anabaena spiroides、Oscillatoria brevis(以上3種はジオスミンを産生)を植えつけて、それらの増殖やかび臭物質産生などに及ぼす影響について検討した。その結果、EDTA-Fe(III)キレートの場合には、上記5種のラン藻はいずれも良好な増殖を示し、かび臭物質ジオスミンまたはMIBを産生した。しかしBPDS-Fe(II)キレートの場合にはA.macrospora、O.tenuis、A.spiroidesは増殖阻害を起こし、一方P.tenueとO.brevisはFe^<II>(BPDS)_3^<4->キレート中の鉄を利用して増殖し、かび臭物質を産生した。さらにキレート剤EDTAを含まない場合、すなわち鉄がコロイド状で存在する場合にはO.brevisのみが増殖することができ、他の4種のラン藻はその鉄を利用できず、増殖阻害を起こした。またO.brevisは酸化鉄やリン酸鉄にようなきわめて安定な形態の鉄化合物をも鉄源として利用できることが見出された。さらに本種は微生物シデロフォアのデスフェリオキサミンBの鉄(III)キレートを鉄源として利用できることが明らかになった。以上のように、かび臭物質産生ラン藻は水中の鉄の存在形態により鉄利用能力が異なること、O.brevisは他の4種のラン藻に比べ、鉄の吸収能力が優れていることが判明した。さらに鉄吸収が十分に行えない場合には、ラン藻の細胞は黄化現象を起こし、光合成色素のクロロフィルや補助色素のフィコシアニン(上記5種のラン藻に含まれる)またはフィコエリトリン(O.brevisのみに含まれる)の生合成量やかび臭物質の産生量も低くなることが判明した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 中島 進: "かび臭物質を産生するラン藻の増殖に及ぼす鉄の影響" 水処理技術. 36. 23-33 (1995)

  • [文献書誌] S.Nakashima,et al.: "Effect of iron forms on the growth of musty-odor producing cyanobacteria." Water Osaka '95. 284-285 (1995)

  • [文献書誌] 中島 進: "水道水の異臭味に関わるラン藻の増殖に及ぼす鉄の影響" しぶかわ. (印刷中). (1996)

  • [文献書誌] 八木 正一・中島 進: "琵琶湖のかび臭-発生の経過と変遷-その2" 日本水処理生物学会誌. 31. 137-149 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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