研究概要 |
セルロースやヘミセルロースの廃棄物は本来再生可能な貴重な天然資源であるので、水素生成細菌によりこれらをクリーンなエネルギー源水素に変換する新規な廃棄物処理システムを確立することを本研究の最終目的とし、本年度はセルラーゼやヘミセルラーゼなどの酵素を産生する新奇な水素生成細菌の分離探索、並びにキシランから水素を生成する水素生成菌のキシラナーゼ産生など的を絞って実験を実施した。 その結果、キシランを水素に変換する菌株(Clostridium sp. X53)を分離した。Clostridium sp. X53株は、培養液のpHを6.0に培養温度を40℃に維持・撹拌培養すると、培養開始8時間後に、キシラナーゼ活性(1,252 IU/ml)と単位時間当たりの水素発生量(240ml/hr)は最大を示した。24時間培養の総水素産生量は1,254ml/Lであった。キシランからの水素産生量は、キシロースの約70%に相当した。このClostridium sp. X53株は、単独分離菌でキシランを水素に変換できる世界最初の水素生成菌である。この菌株の分離とキシラナーゼと水素の産生については、論文にして発表した。 しかし、セルラーゼ産生水素生成菌は分離出来なかった。またキシラナーゼ産生菌からのキシラナーゼ遺伝子の分子クローニングを実施したが、適当なクローンは入手できなかった。これらは、継続して検討する予定である。
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