研究概要 |
1,平成7年度の主な研究計画は以下の様である。 (1)鉄(III)イオン及び銅(II)イオンの高認識機能性ポリマーメンブランプレートの合成。 (2)試作したメンブランプレートによる鉄、銅イオンに対する発色応答性能評価と最適な発色条件の検討。 2,上記の計画に対して、下記の研究が遂行された。 (1)鉄イオン認識メンブランプレートの合成:ポリ塩化ビニル、o-ニトロフェニルオクチルエーテル及びバソフェナントロリンから成るメンブランプレートを合成した。 (2)鉄イオン認識メンブランプレートの特性評価:鉄イオンに対し、分光光度計により発色応答性能評価を行い、pH、対イオン種及びその濃度、反応温度、鉄イオン濃度依存性、共存イオンの影響について検討を行った。 (3)銅イオン認識メンブランプレートの合成:現在検討中である。 3,本年度の研究により、次の知見が得られた。 (1)鉄イオン試料に緩衝液、対イオン及び還元剤を加えてプレート上に滴下し、55℃で加熱乾燥すると、プレート上の溶液との接触部が赤いスポット状に発色し、視覚的に鉄イオンのそんざい確認できることがわかった。 (2)メンブランプレート上のスポットの着色強度(吸光度)は、鉄イオン濃度が5x10^<-7>〜5x10^<-4>Mの広い範囲に渡り比例関係にあり、その発色強度から鉄イオン濃度が分光光度計により測定できることを見い出した。 (3)環境試料に共存する金属及び陰イオンの妨害も無く、選択的に鉄イオンが測定できることが明らかとなった。 (4)銅イオンの認識は、バソクプロインをメンブランプレートに加えることで認識可能であり現在検討中である。
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