研究課題/領域番号 |
07680629
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯田 彰 京都大学, 薬学部, 助手 (40202816)
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研究分担者 |
長岡 康夫 京都大学, 薬学部, 助手 (90243039)
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キーワード | 人工イオンチャンネル / ペプチドバンドル / トリコデルマポリスポーラム / トリコスポリン / ペプタイボール / 電位依存性チャンネル / 不完全菌 / バレルステーブモデル |
研究概要 |
不完全菌Trichoderma polysporumから単離された20残基のペプタイボールであるトリコスポリンB類は人工脂質2分子膜に作用し、その両親媒性のヘリックスペプチドが4から9つ平行にかつ筒状に集まる、いわゆるbarrel-stave modelで説明できる電圧依存性イオンチャンネルを形成する。本ペプチドを利用して生体固有のタンパクの特性を模倣できる安定な人工タンパクをデザイン・合成することを目的に、主成分トリコスポリンB-VIa(TS-B-VIa)4分子を強制的にペプチドテンプレートに結合されたペプチド集合体(ペプタイボールバンドル)を合成した。合成したバンドルのCDスペクトルは、222と208nmに負のコットン効果を示し、チャンネルのコアとなる天然ペプチドの高次構造が保持されていることが明かとなった。バンドルのマクロレベルでの電圧-電流曲線は、バンドルもまた電圧依存的にチャンネルを形成することを示した。しかしながら、その曲線のヒステリシスはTS-B-VIaのそれより著しく増大しており、チャンネルの不活性化過程では、電圧依存性が低下することが認められた。さらに、ミクロレベルでは、バンドルのチャンネル寿命は、TS-B-VIaのそれよりも、極めて長いことが認められ、その電流は、TS-B-VIa4分子によると計算される電流と一致した。それゆえ、TS-B-VIaのイオンチャンネル形成が、平行なヘリックスバンドル構造であることが明らかになった。
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