研究課題/領域番号 |
07680659
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造生物化学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
笠井 献一 帝京大学, 薬学部, 教授 (40001052)
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研究分担者 |
荒田 洋一郎 帝京大学, 薬学部, 助手 (90246017)
平林 淳 帝京大学, 薬学部, 講師 (40156691)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | ガレクチン / 線虫 / C.elegans / レクチン / 糖鎖 |
研究概要 |
脊椎動物以外で初めて発見されたガレクチンである線虫Caenorhabditis elegansのタンデムリピートタイプの32kDaガレクチンの遺伝子の全構造を解明した。イントロンが2つ挿入されており、1つは脊椎動物のガレクチン類の場合とほぼ同じ位置であったが、もう1つはこれまでに例のない位置であった。さらに線虫から新たに16kDa型ガレクチンを発見し、構造解明の結果、脊椎動物のプロトタイプガレクチンに相当することを明らかにした。線虫と脊椎動物が共通のガレクチンのセットを持つことは、ガレクチンの普遍的役割を確信させる。一方、線虫ではゲノムプロジェクトにより、全遺伝子の構造決定が進行しているが、既に決定された配列の中に、ガレクチンの共通配列をコードする配列が相当数(現在のところ10種類くらい)含まれることが発見されたので、それらをcDNAを鋳型としてPCRで増幅したところ、いくつかのものは確かに転写されており、発現されるタンパク質には糖鎖結合活性が見られた。このことから、線虫にはタンパク質として単離された2種類以外にもかなりの種類のガレクチンが存在することが判明した。哺乳動物でも既に10種類程度が発見されていることと比較すると興味深い。ガレクチンの内在性リガンドについては、候補となる糖タンパク質を複数分離しており、その構造を解析中である。ガレクチンの組織内、細胞内での分布について、ニワトリ、ヒト、線虫を比較しつつ免疫組織化学により詳しく調べたところ、共通して表皮に多く発現されており、多細胞動物における共通の役割のひとつが示唆された。種々の起源のガレクチンの機能を比較検討するための解析技術として、キャピラリー電気泳動法を利用する新しい有効な手法も開発した。以上のように、本研究を通じてレクチンの分子進化について有用な情報が数多く得られた。
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