研究概要 |
1、HMG1による転写促進機構解析:HMG1を定常的に高発現するマウス由来のC127細胞へレポーター遺伝子を導入し、レポータープラスミド由来のミニクロモソームの構造変化をHMG2高発現細胞中のそれと比較しつつ検索した。その結果、HMG1高発現細胞内のミニクロモソームは構造が緩んだ状態にあり、この構造弛緩がHMG1による転写反応促進の機構であろうと推定された。 2、HMGタンパク質の結合によるDNA bending機構の解析:種々の長さをもつBending, Non-bending型のDNAを作成、これらを用いてHMG中のDNAの折れ曲がり反応の機能ドメインを解析、DNA結合ドメインBとそれに連なる配列が機能領域であることを明らかにした。 3、HMG2のDNA結合領域の構造解析: HMG2のcDNAより、DNA結合ドメインAおよびB、さらにAB(AとBがリンカーを挟んで連結した配列)をコードする配列を発現ベクターに挿入し、大腸菌内で高発現させ、均一になるまで精製する系を確立した。現在、この系を用いて標識した試料につき、大阪大学蛋白質研究所など3研究機関の協力のもと、NMRにより高次構造解析を進行中であり、基礎データを順調に蓄積しつつある。引き続き解析を継続する。また、奈良先端技術大学院大学の協力のもとにX線回析による解析も同時に進行中である。 4、HMGタンパク質とDNAとの相互作用の解析:上記の方法でDNA結合ドメインを含む各種配列を高発現、精製した。それらとDNAとの相互作用を、表面プラズモン共鳴現象を測定するBIAcore (Pharmacia)装置を用いて解析をおこない、各DNA結合ドメインに連なる塩基性配列が強い結合と安定性に重要であることを定量的に明かにした。さらに蛍光測定法をもちいた解析より、各芳香族アミノ酸の存在状態を明らかにできた。
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