研究概要 |
1]GD3合成酵素はGQ1bの発現を制御する。 ガングリオシド代謝におけるGD3合成酵素(α2,8シアル酸転移酵素)の意義を明らかにするために、遺伝子組換えたんぱく質を用いて基質特異性を調べた。その結果、本酵素たんぱく質は、本来のGD3合成酵素活性(GM3→GD3)の他に、これまで他の酵素の働きによると考えられていたGQ1b合成活性もあわせ持つことを見いだした。そこで、実際に細胞内でこの活性が起きるか否か検証するために、GD3合成酵素およびGQ1b合成酵素を欠損するSwiss3T3細胞にGD3合成酵素cDNAをtransfectionし、ガングリオシドプロフィールの変化を調べた。その結果、細胞ガングリオシド画分にGQ1bの存在を認めた。以上の結果は、細胞の増殖および活性化、神経突起進展作用などの生理活性ガングリオシドであるGD3とGQ1bの発現が同一に酵素によって制御されることを示唆した。 2]GD3合成酵素遺伝子のマッピング ガングリオシド発現の遺伝子支配の機構を明らかにするために、ヒトGD3合成酵素遺伝子座(Siat8)をFISH法にて調べた結果、第12染色体上の12p11.2-12p12.1にマップされた。さらに、マウスGD3合成酵素の詳細な位置を野生マウスとの雑種交雑パネルを用いて決定した。その結果、D6Mit52-(2.8cM)-SIAT8-(4.3cM)-D6Mit25の位置にマップできた。以上の結果は、ヒト第12染色体短腕該当遺伝子領域とマウス第6染色体SIAT8遺伝子領域とがsyntenicな関係にあることがわかった。
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