研究課題/領域番号 |
07680668
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中村 敏也 弘前大学, 医学部, 講師 (00155847)
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研究分担者 |
棟方 秀和 弘前大学, 医学部, 助手 (80271807)
高垣 啓一 弘前大学, 医学部, 助教授 (70163160)
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キーワード | ヒアルロン酸 / 合成阻害剤 / 細胞外マトリックス / ヒト皮膚線維芽細胞 / 4-メチルウンベリフェロン |
研究概要 |
研究代表者らは、4-メチルウンベリフェロンを培養ヒト皮膚線維芽細胞の培地に加えて培養すると、この細胞のヒアルロン酸合成が阻害されることを報告した。平成7年度では、この4-メチルウンベリフェロンによる、ヒアルロン酸欠損細胞外マトリックスの確立を第一の目的として研究を進め、ほぼ目的が達成された。更に、このヒアルロン酸欠損細胞外マトリックスについて種々検討したところ、4-メチルウンベリフェロンの存在下では、培養細胞のマトリックス成分が非常に希薄になることが電顕的に観察された。このことは、ヒアルロン酸合成が阻害された結果、本来ヒアルロン酸とともにマトリックス成分として機能すべき物質が、培地中へ脱落した可能性を示唆した。そこで、平成8年度では、ヒアルロン酸にアフィニティを示すタンパク質を培地中に検索した。すなわち、4-メチルウンベリフェロン存在下または非存在下で、ヒト皮膚線維芽細胞を培養した。それぞれの培地をヒアルロン酸をリガンドとしたアフィニティカラムにかけ、ヒアルロン酸結合性タンパク質を調べた。その結果、予想に反して、4-メチルウンベリフェロン存在下に培養した培地の方が、ヒアルロン酸結合性タンパク質が減少しており、特に分子量83kのタンパク質の減少が顕著であった。このことは、4-メチルウンベリフェロンによりヒアルロン酸産生量が阻害され、細胞周囲にヒアルロン酸が存在しなくなったため、ヒアルロン酸と相互作用しながらマトリックスを構築すべきタンパク質の合成もまた減少したものと考えられた。今後はこの分子量83kのタンパク質の性状について検討することにより、ヒアルロン酸の細胞外マトリックスにおける役割の一端を解明する。
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