我々は、カルボキシペプチダーゼgp180がヒトやマウスにも存在することを示唆する結果を得た。まず我々は、ダックカルボキシペプチダーゼgp180の核酸配列をもとに作製したprimerとヒト肝がん由来HepG2細胞およびマウス肝臓のRNAを材料にRT-PCRを行い得られたPCR産物から、gp180ホモログの存在を推定した。そこで我々は、これらgp180ホモログの完全長cDNAを得るため、HepG2細胞およびマウス肝臓より作製したcDNAライブラリーをさきのPCR産物をプローブとしてスクリーニングし、1.3X10^6個のライブラリーからそれぞれ19個のポジティブクローンを単離した。ヒトおよびマウスgp180のカルボキシペプチダーゼドメインは、これらcDNAの制限酵素地図をダックgp180のものと比較した結果、ダック同様triplicateしていることが予想された。本研究で得られたヒトおよびマウスgp180cDNAの全一次構造は現在決定中である。ヒトgp180のC末端側カルボキシペプチダーゼドメインCについては、ダックgp180と相同性が高く、また、ドメインC特有の構造がよく保存されていることがこれまでにわかっている。 gp180は進化の過程でカルボキシペプチダーゼがtriplicateしてできたものと考えられるが、そのユニークな構造は鳥類に特異的なものではなくヒトやマウスにも保存されていることが示唆された。
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