カルボキシペプチダーゼgp180は、DHBVエンベロープと結合する宿主の蛋白としてダック肝細胞から我々により初めて同定された。しかし、この酵素の本来の生体内での機能に関してはわかっていない。gp180の機能と構造について理解するため、我々は、まず、ヒトのマウスのgp180cDNAをクローニングし、その一次構造を解析、比較した。 ダックgp180は、カルボキシペプチダーゼHのサイズの約3倍で、カルボキシペプチダーゼとホモロジーのある3個のドメインがN末端からC末端にかけて配列している。 ヒトとマウスから得たgp180DNAは、各々1380および1377個のアミノ酸をコードしていた。ダックgp180同様、ヒトおよびマウスのgp180は、3個のカルボキシペプチダーゼドメインを持っていた。ヒトgp180とマウスgp180の全アミノ酸配列のホモロジーは、91%あり、また、マウスとダック間では、77%であった。各ドメインについても、種間の相同性は、同程度であった。ダックgp180は、ドメインAとBの触媒部位、Znおよび基質結合部位がよく保存されているのに対して、ドメインCでは失われている。このような特徴は、ヒトやマウスgp180にも共通していた。ドメインCには、酵素活性がないかもしれない。これらの結果から、gp180遺伝子は、これらの種の分化以前にタンデムに複製されたものと推定される。gp180の55アミノ酸からなる細胞質ドメインは、ヒトとマウスで100%、ダックとで95%と種間でたいへんよく保存されている。このドメインは、gp180の酵素活性あるいは細胞内局在性に重要な機能を担っているものと思われる。
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