研究概要 |
1.放線菌S.virginiae由来のVB特異的リセプタータンパク質BarAに関して、まずBarAタンパク質のVB結合領域を大まかに決定するために、完全長のbarA遺伝子を持つ発現ベクターpAR509を使用し、PCR法によってC末端側から各49、96アミノ酸残基、及びN末端側から47アミノ酸残基を除去した変異型rBarAの調製を試みた。しかし、C末端側を部分除去したものについてはinclusion bodyを形成し、N末端側を部分除去したものについては、可溶性で存在するものの高分子量のaggregateを形成し、全くVB結合活性は見られなかった。チオレドキシンとの融合タンパク質として発現させた場合にも全く同様の現象が見られ、従って、BarAタンパク質のN末端及びC末端側の数10アミノ酸残基は、本タンパク質の構造維持に関与していると結論される。 2.rBarAの特定のアミノ酸残基を化学修飾し、その修飾BarAタンパク質の諸性質を測定することで、種々の必須アミノ酸残基の同定を試みた。本BarAタンパク質は、Cys残基を2個しか持たないため、まず5,5,-dithio-bis-(2-nitrobenzoic acid)(DTNB)によるCys残基の修飾を行った。1.8mol/mol BarAの修飾によっても、本BarAタンパク質はVB結合活性をほぼ100%保持し、またその高次構造にも変化が見られないため、Cys残基はリガンド結合にも又構造維持にも関与しないと結論される。その他、Lys残基特異的修飾試薬や色素増感光修飾などを行ったが、いずれもリガンド結合活性の低下が見られる場合には、本来Dimerであるべき本BarAタンパク質が可溶性の高分子重合体に変化していることが見出され、これら化学修飾によって修飾されるアミノ酸残基は構造維持に関与している可能性が示された。
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