分化に依存しておこる択一的スプライシングの調節領域の検索結果の報告 マウスの筋芽細胞C2C12と繊維芽細胞C310T1/2を用いて、神経細胞接着分子(NCAM)遺伝子の筋肉特異的ドメイン(MSD)の択一的スプライジングを調節する領域の単離をおこなった。まず、NCAM遺伝子のMSDエキソンを含むコスミドを単離し、エキソン11から19までの地図を作製し、MSDエキソンの領域の塩基配列を決定した。次にMSDエキソンを含むミニ遺伝子を構築して前期の細胞にトランスフェクトして細胞内で選択されたエキソンを解析した。種々のキメラミニ遺伝子でMSDエキソンの選択の有無を解析したところ、このエキソンの下流約450bpからの100bpの領域が分化に依存した択一的スプライシングを調節していることがわかった。 この領域が筋芽細胞の択一的スプライシングを反映していることを筋特異的分化調節因子であるMyoD cDNAを同時にトランスフェクトした実験で確認した。このミニ遺伝子を用いた系はin vitroの実験にも利用できるものである。この領域は繊維芽細胞では常に選択の抑制に働き、筋芽細胞では分化の誘導に伴って抑制が解除できるように働いていることが判った。この領域を用いて、両細胞の核抽出物で択一的スプライシングの調節に関与している特異的なSR蛋白質を単離する準備が整った事を報告する。 その他の研究計画、筋芽細胞(BC3H1)からのSR蛋白質の単離、新規RNA結合蛋白質のcDNAクローンの探索などは前年度から引き続き継続している。 来年度も更に本研究を多角的に発展するように努める。
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