研究概要 |
I.制限酵素遺伝子のクローニング 制限酵素Aor13Hl遺伝子のクローニングを行った。ファージベクターを用いてライブラリーを作成した後,N末端配列30残基のアミノ酸配列に基づき作成した2種類のプローブを用いてプラークハイブリダイゼーション法によりスクリーニングを行った。プラークハイブリダイゼーションの結果,二つのプローブとハイブリダイズするプラークが一つ得られたため,pBluescript部分を含む組換え体を切り出し解析を行った。挿入断片は約4kbであった。この断片上のプローブとハイブリダイズする領域の特定を行い,M13mp18へ連結した。現在dideoxy法により塩基配列を決定中である。一方プローブの作成の過程で本酵素のN末端配列について,既知の蛋白質の一次配列との相同性を検索したところ,Rhizobium meliloti由来のDNA結合蛋白質HRmをはじめとするヒストン様DNA結合蛋白質と高い相同性を示すことが明らかとなった。このことは,制限酵素同士で顕著な相同性が認められないという制限酵素の一次構造の特徴から考えると極めて興味深い点である。 II.制限酵素の結晶化 比較的精製がしやすく安定なAor13Hlの結晶化条件の検討を行った。結晶化条件は緩衝液として100mM HEPES(pH7.5,8.0),沈殿剤として終濃度5%,10%のPEG4000もしくはPEG6000を,塩として0mM,100mM NaClを,またタンパク質溶液中には終濃度1mM EDTA,5%glycerol,90nM oligonucleotide(5'-GTCAGTCCGACTCA-3')を添加し,以上の条件について20℃でハイギングドロップ法により結晶化条件の検討を行った。その結果100mM HEPES(pH8.0),100mM NaCl,10%PEG4000またはPEG6000の条件下で板状の結晶の生成が確認できた。今後,この結晶を元にmicro seeding法により,結晶を成長させていくことが可能であると考えられる。
|