《光親和性標識基質類似体の作製》 光親和性基であるベンゾイルフェニルアラニン(Bpa)を導入した。リンゴ酸脱水素酵素(MDH)の延長ペプチドをモデルとしたペプチドを合成した。このペプチドは、ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ(MPP)の基質に類似ししかも切断を受けにくいように、切断部位を改変させてある。さらに、光親和性基であるベンゾイルフェニルアラニン(Bpa)と標識基であるビオチンを挿入してある。 《MPPの光親和性標識》 ウシもしくはラットから部分精製したMPPと光親和性標識基質類似体を混合し、水銀ランプ下で光照射した。得られた生成物をSDS-PAGE、引き続いて膜転写した。膜上のペプチド付加物をアビジンを結合させたペルオキシダーゼで検出しようとを試みたが、アビジンの非特異的吸着を抑えることができず、付加物の明確な検出には至らなかった。そこで、単量体アビジンを固定化することで結合力を低下させたアビジン-アガロースに上記の反応物を結合させ、過剰量のビオチン存在下で、アビジンに特異的に結合しているタンパク質のみを分離した。抗MPP抗体を用いた免疫ブロットにより、MPPのうちα-サブユニットだけがビオチンにより標識されていることが判明した。どの、部位に標識が入っているかは未だ不明である。 現在、基質結合サブユニットの特定までしかできていないが、これはペプチド基質類似体の結合が弱いためと思われる。まず、この点を早急に解決しなければならない。
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