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1997 年度 実績報告書

造血細胞の増殖における非受容体型チロシンキナーゼ,p72^<syk>を介した情報伝達機構

研究課題

研究課題/領域番号 07680701
研究機関福井県立大学看護短期大学部

研究代表者

朝日 百百代  福井県立大学看護短期大学部, 助教授 (60100624)

キーワードInsulin Receptor / IGF-1 Receptor / Non-Receptor Protein Tyrosine Kinase p72^<syk> / A Kinase / Dibutyryl cAMP / Forskolin / H_2O_2 / Diamide
研究概要

本年度はリンパ芽球細胞株IM9 cellsにおけるインスリンおよびIGF-1刺激による非受容体型チロシンキナーゼp72^<syk>の活性制御機構について検討し、同細胞株のインスリン作用をmimicするH_2O_2刺激によるp72^<syk>のチロシンリン酸化におけるAキナーゼ活性化剤dibutyryl cAMPおよびfolskorinによるチロシンリン酸化の制御機構の解析を行った。既に,非受容体型チロシンキナーゼp72^<syk>がIM9 cellsに存在し,InsulinおよびIGF-1刺激後共に15-30secでチロシン自己リン酸化活性の増加し,1-2min以後徐々に低下することが認められている。その活性化機構として,Insulin receptorとp72^<syk>が直接的あるいは間接的なassociationを介しているか否かを各種抗体を用いて解析を行った。IM-9 cell lysatesの抗syk抗体での免疫沈降を行ったところ、sykとInsulin receptorの共沈が抗インスリン抗体(2H2Ab)および抗リン酸化チロシン抗体によるウエスタンブロットでわずかに確認されたが、抗インスリン抗体を用いた免疫沈降ではInsulin receptorとp72^<syk>の共沈が確認されていない。そこで、Insulin作用を顕著にmimicし、p72^<syk>のチロシンリン酸化も亢進する酸化剤の1つであるH_2O_2刺激を用いて,IM-9 cellsにおけるインスリン受容体とp72^<syk>のチロシンリン酸化の関係を検討した。インスリン受容体およびp72^<syk>は共に1-3分で顕著なチロシンリン酸化の亢進が認められた。その条件下で抗インスリン抗体で免疫沈降したところ、刺激依存性に95kDaおよび72-74kDaの蛋白バンドのチロシンリン酸化が確認された。そのH_2O_2刺激したIM9 cellsをdibutyryl cAMPで前処理した場合には、p72^<syk>のチロシンリン酸化および自己リン酸化がdibutyryl cAMPの濃度依存性に抑制された。しかし、forskolin前処理では、逆にp72^<syk>のチロシンリン酸化を促進させる結果が得られ、IM-9 cellsのH_2O_2刺激でのp72^<syk>のチロシンリン酸化へのシグナル伝達におけるdibutyryl cAMPとforskolinの作用は異なっていることが明らかとなった。尚、チオール基(SH基)の特異的酸化剤であるdiamide(3mM)刺激では、dibutyryl cAMPおよびforskolinのいずれの前処理でも、p72^<syk>のチロシンリン酸化の抑制が認められた。以上の結果から、IM-9 cellsにおいてはH_2O_2とdiamide刺激によるp72^<syk>のチロシンリン酸化に対するAキナーゼ活性化剤の作用機序に差異があることが明らかとなり、現在それらの反応機構の違いを検討中である。
一方、造血系細胞の増殖におけるp72^<syk>の活性制御機構の研究の一環として、骨髄球系細胞におけるIL-3刺激時の非受容体型チロシンキナーゼp72^<syk>の活性化について坪川らとの協同研究で検討した。その結果、IL-3およびG-CSF刺激時にp72^<syk>のチロシンリン酸化が亢進することを抗リン酸化チロシン抗体で確認したと同時に、in vitro kinase assay法により、IL-3およびG-CSF刺激でp72^<syk>の自己リン酸化能の亢進も認めた。更に、免疫沈降法を用いて、p72^<syk>とIL-3受容体βサブユニットが共沈することを確認した。以上の結果から、骨髄球系培養細胞の増殖シグナルにおいてp72^<syk>が関与していることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Misao Tsubokawa,Yumi Tohyama,Kaoru Tohyama,Momoyo Asahi,Tetsuya Inazu,Hideo Nakamura,Hitoshi Saito and Hirohei Yamamura: "Interleukin-3 activates Syk in a human myeloblastic leukemia cell line,AML193" European Journal of Biochemistry. Vol.249. 792-796 (1997)

  • [文献書誌] 朝日百百代・山村博平: "高次脳機能におけるサイクリックヌクレオチド依存症プロテインキナーゼの生理的役割" 蛋白質 核酸 酵素(増刊号). 第42巻第3号. 207-214 (1997)

  • [文献書誌] Momoyo Asahi,Yukie Tanaka,Suofu Qin,Misao Tsubokawa,Kiyonao Sada,Yasuhiro Minami Hirohei Yamamura: "CYCLIC AMP-ELEVATING AGENTS NEGATIVELY REGULATE THE ACTIVATION OF P72^<SYK> IN N-FORMY-LEUCYL-PHENYLALANINE RECEPTOR SIGNALING" BIOCHEMICAL AND BIOPHYSICAL RESEARCH COMMUNICATIONS. Vol.212,No.3. 887-893 (1995)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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