これまでにテイルリゾチームのプロセッシングにおける切断部位を同定することができた。まず、既に我々が確立した常法に従ってテイルを大量に調製した。テイルからSDS電気泳動によってテイルリゾチーム(gp5)を分離し、PVDF膜に転写してN末端配列をプロテインシーケンサーによって決定したところ、N末端は遺伝子5の塩基配列から推定されるアミノ酸配列と一致した。なお、SDS電気泳動でテイル構成成分を分離する際、gp48の分子量が近接し分離が困難であったが、テイルをあらかじめ6M尿素で処理してからSDSを加え、加熱せずに電気泳動を行えばgp48はゲルに入らず、gp5を容易に分離できることを見いだした。N末端配列決定の結果、プロセッシングはC末端側で起こることが示唆された。そこで、同様にして電気泳動によってgp5を分離し、ゲルから蛋白質を抽出した後、C末端配列分析を行った。C末端配列は単離したgp5をカルボキシペプチダーゼYで消化した後、経時的にサンプリングを行ってから1サイクルのエドマン分解を行うことによって決定した。その結果、C末端はval390を結論された。 上記のようにC末端が決定されたので、Met1よりval390に対応する遺伝子断片をPCRで増幅し、IPTG誘導可能でT7プロモーターを持つpETベクターに移すことができた。これまでに、溶菌液のSDS電気泳動後のゲルをク-マシ-ブルー染色して大量発現を確認できた。 gp5(分子量42K)のプロセッシングに関与するプロテアーゼの検索は遅れているが、gp26の抗体を使って、gp5からgp26にトランスペプチデーションが起こるというMosigらの仮説は誤りであることを示すことができた。
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