テイルリゾチームのプロセッシング部位を明らかにするために、単離したテイルリゾチームのN末端配列を決定したところ、塩基配列から予想される配列と一致した。従って、プロセッシングはC末端側で起こると考えられた。そこで、単離したテイルリゾチームのC末端配列分析を行い、C末端はVal390であると結論した。プラスミド上でMet1からMet390までの遺伝子を発現させたところ、リゾチーム活性が発現した。他方、遺伝子5に変異を持ち、温度感受性(ts)、熱失活性(hs)などの表現型の異なる3種12株の変異株の変異部位を一次構造上にマッピングした。変異部位はいずれも残基番号390よりもN末端側に相当する位置にマップされた。温度感受性変異株のうち、5ts1株は通常の溶菌の際に働くT4リゾチームを必要としない"バイパス"変異株で、この変異株の変異Gly322Aspはgp^<5*>中のT4リゾチームと相同な領域"リゾチームドメイン"に位置する。また、2つのhs株はいずれも"リゾチームドメイン"の外に位置していた。当初、hs株は55℃処理でリゾチーム活性が失われると考えていたため、この結果は意外であった。しかし、55℃処理したゴ-ストを経時的にサンプリングしてテイルよりリゾチームを遊離させて活性を測定した結果、この熱処理でhs変異は"リゾチームドメイン"外であるにもかかわらず、やはり失活する事が分かった。従って、何らかの仕方で、この領域外の変異がテイルリゾチームの熱安定性に影響を与えていることが分かる。さらに、他の変異についても構造機能相関の観点から考察を加えた。
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