1)ゾウリムシの温度感覚を阻害するいくつかの薬品が見つかった。これら薬品のうち特にプロスタグランジン合成酵素の阻害剤が有効であった。一方温度感覚を阻害されたゾウリムシにプロスタグランジンを加えると温度感覚の回復がみられた。これらの結果からプロスタグランジン受容物質と温度感覚受容物質との関連性を明らかにする研究を進めている。 2)ゾウリムシの泳ぎ行動でみると温度刺激に対する応答の弱い3種類のミュータント得られた。しかしそれらについて電気生理学的解析を行ったところ2種類については温度刺激の受容機構に異常はみられず、温度受容に関わっていないイオンチャネルに異常があることがわかった。しかしカルモジュリンに異常のあるミュータントでは温度受容に関わるイオンチャネルの働きが弱く温度刺激による応答ができないことがわかった。 3)マスト細胞を培養し、その温度感受性をパッチクランプ法により調べた。その結果ゾウリムシで見られたような温度刺激に対する応答は示さないが、温度を下げることによりK^+チャネルの活性が強く阻害されることがわかった。このようなK^+チャネル活性の阻害と回復が温度のどのような効果によるのか研究を進める予定である。また、別の培養細胞で温度感受性を持つ細胞を探しその温度感覚機構を研究する。
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