研究課題/領域番号 |
07680729
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
李 相男 福岡大学, 理学部, 助手 (40248472)
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研究分担者 |
井上 亨 福岡大学, 理学部, 教授 (50078599)
杉原 剛介 福岡大学, 理学部, 教授 (50090915)
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キーワード | 分子生物学 / 膜蛋白質 / 人工蛋白質 / ペプチド合成 / 脂質蛋白質相互作用 / イオンチャンネル |
研究概要 |
膜蛋白質または膜に作用して生理活性を表す蛋白質の体液中から生体膜中へのトランスロケーションメカニズムは、未だ解決されるべき多くの問題を残す。特に、ある一定の高次構造を保った水溶性蛋白質が膜へ結合すると激しいコンホメーション変化を、伴う場合が多い。しかしそのコンホメーション構造変化の要因が何であるかは、未だほとんど分かってない。我々は、膜に作用する超ミニ蛋白質を系統的にデザイン合成し、その膜中へのトランスロケーションの要因を探ることによって、蛋白質の体液中から生体膜中へのトランスロケーションメカニズムを解明することを目的として、以下の実験を展開した。 まず一つの脂溶性α-ヘリックスを取り囲む三つの両親媒性ペプチドの69残基からなるミニ超蛋白質Ac--AAAAAAWAAAA-GPNG-LYLKKKLLKKLLKLL-GNPG-LKLYKKLLKKLLLKL-GNPG- LLKLYKKLLKKLLKLLをデザインした。その合成はミリジェン社の自動ペプチド合成機(9050型)をもちいた。合成物はHPLCで精製しFAB質量分析計でその分子量を確認した。超ミニ蛋白質のフォールデイングの様子を緩衝液中及び脂質膜存在下で円偏光二色性スペクトルの測定、及び蛍光測定(Trp-Tyr間のエネルギー移動)したところ、この蛋白質は、単独でα-ヘリックス構造をもつ球状のモルテングローブルな状態をとっていることが分かった。一方、この蛋白質は脂溶性色素を強く吸着し、また一つのbinding siteを有することなどから、このミニ蛋白質はmolten globule-likeではあるが、硬い安定な折れ畳み構造を有する(globularな側面も有する)こともわかった。これ等の事実はミニ蛋白質がfoldingのメカニズムを研究する格好のモデルになるだけでなく、将来、球状人工タンパク質の合成の基本モデルになると考えられる。
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