RNA editingの解析 1.HPIV2のP遺伝子を組み込んだ組み換えバキュロウイルス(BV)感染昆虫細胞をウエスタンブロット法を用いて解析すると、P蛋白(46kd)のバンドのみならず30kdのP/V様蛋白のバンドも検出された。この30kdのバンドはPとV蛋白の共通部分のN末端側の部分に対する抗体では検出されないが、editing siteより下流のP蛋白特異的部分に対する抗体とV蛋白特異的部分に対する抗体の両者によって検出される蛋白であった。また、Northern Blotting法およびRT-PCR法による解析の結果、P遺伝子に相当する一本のバンドまたは一種類のクローンが観察されるのみであった。したがって、この蛋白はPmRNAが翻訳される過程においてP蛋白と共に合成されている可能性が示唆された。 2.HPIV2のV遺伝子を組み込んだBVの感染細胞mRNAの解析を繰り返した結果、editing siteのG clusterの長さを7Gから10Gにするとediting様の現象が統計学的に有意に高頻度に観察されることが確認された。 3.センダイウイルス感染細胞ではP遺伝子からRNA editingによってV mRNAができるが、BV発現系においてはP遺伝子のediting様現象は観察されなかった。 転写複製系の再構成 1.NP遺伝子をトランスファーベクターに組み込み、BV DNAとの昆虫細胞へのco-transfectionを何度か試みたが組み換えBVの出現は観察されなかった。これはNP遺伝子の5'非翻訳領域またはNP蛋白そのものが組み換えBVの出現を阻害している可能性が考えられたのでトランスファーベクターにNP遺伝子を再構築した。 2.BV系において発現させたP蛋白をクロマトグラフィーを用いての精製を試みたが、P蛋白の大部分が断片化してしまい、現在精製条件の検討中である。
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