1.RNAeditingの解析に関しては、HPIV2のPおよびV遺伝子、さらにediting siteのG塩基の連続した部分(Gクラスター)を長くしたV遺伝子を発現するrecombinant baculovirus(rBV)を作製し、その感染昆虫細胞における蛋白合成およびmRNA合成を解析した。その結果、(1)V蛋白を発現するように構築したrBV感染昆虫細胞ではV蛋白のみならずp蛋白も検出された。(2)Vgene cDNAからin vitro転写により合成したVmRNAをウサギreticulocyte lysateにより翻訳させるとV蛋白のみか合成されるが、V蛋白を発現するように構築したrBV感染昆虫細胞からのmRNAを用いて同様に翻訳させるとV蛋白のみならずP蛋白も検出された。(3)V蛋白を発現するように構築したrBV感染昆虫細胞からのmRNAにはP蛋白をcodeするedited mRNAが検出された。すなわち、V遺伝子のediting siteのG塩基にG塩基の付加または欠失が検出された。これらの結果は、V蛋白を発現するように構築したrBV感染昆虫細胞においてはRNAediting様の現象(すなわちG塩基の挿入または欠失)が見られることを示している。また、editing siteのGクラスターのGの数を多くした方がこのRNA editing様現象の程度が高かったので、Gクラスターの長さがRNA editingに重要であることが示唆された。また、これらの結果はパラミクソウイルスのRNA editingに類似した現象が、パラミクソウイルスのRNAポリメラーゼの非存在下でも起こることを初めて明らかにしたものである。 2.転写複製系の再構成に関しては、NPおよびL遺伝子全長を動物細胞発現ベクターに構築し、動物細胞にて発現を確認した。さらに、NP遺伝子発現細胞においてNP蛋白はrecombinant P蛋白及びrecombinant V蛋白との結合に関しては機能的に発現していることを確認した。しかし、NPおよびL遺伝子を組み込んだトランスファーベクターを作成したが、rBVの作成には現在のところ成功していない。
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