研究概要 |
平成9年度もほぼ計画にしたがって研究が実施され,3年間のまとめを行った. 1.B1配列含有cDNAクローンの構造解析と発現解析.未決定のマウス2細胞期cDNA各クローンの塩基配列決定を行い,DNAデータベースの既知配列と比較を行った.その結果,未知の遺伝子が数多く発現していることが明らかになると共に,海外の研究者達が最近登録した1万クローンを越えるマウス2細胞期cDNAとホモロジーを示すものが多数有り,双方の解析の正確さを確認し合うことができた.また結果的に典型的なB1反復配列はなかったが,染色体上のヘテロクロマチン領域に存在する遺伝子の発現調節に関わると思われる遺伝子M32(およびM31)と2細胞期のcDNA2B1-30のホモログとして成体マウスの精巣特異的に発現するtsec-1,tsec-2遺伝子についてそのcDNA構造と発現パターンを詳細に明かにし,成果をまとめる事ができた. 2.2細胞期に有意に高い発現を示すSSEC-D遺伝子の解析.(1)初期胚における時期特異的な発現については,計画段階のRT-PCRに加え,検出感度の改良を行った結果,30個程度の受精卵の全RNAを用いてNorthern Blottingが実施できるようになった.その結果,受精後一過性に伸長したSSEC-D maternal RNAは2細胞期後期頃から再び短縮,分解することが判明した.(2)In situ hybridizationによる成体マウスにおける発現細胞の詳細な解析では,ほぼ全組織に発現するこのRNAは,精巣においてはセルトリ細胞に,卵巣においては卵子を取り囲むgranurosa cellに,また脳においては海馬に強く発現し,細胞によって発現量に大きな差のあることを示唆した.(3)ほぼ全長に近いcDNAをマウス胚性幹細胞のcDNAライブラリーより単離し,遺伝子クローンの3つのエキソンを含む塩基配列を決定した.
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