1.分裂酵母のmei2遺伝子がコードするRNA結合タンパク質と、sme2遺伝子がコードするmeiRNAは複合体を形成して減数分裂の制御に関わっている。mei2またはsme2変異を機能的に相補するマウス遺伝子を12種類単離した。sme2を相補するクローンのひとつ(♯MTA6)は精巣で特に強く発現し、その遺伝子産物はpolyA結合タンパク質と高い相同性をもっていた。このタンパク質は精巣において精母細胞の核に局在することから、減数分裂の進行に重要な役割を果たしていることが示唆された。2.分裂酵母mes1は減数第二分裂に必須な遺伝子である。mes1変異を抑圧するマウス遺伝子として、癌原遺伝子のc-cbl、アクチン、チューブリンおよびダイニン中間鎖をコードする遺伝子を単離した。3.分裂酵母においてmes1変異を抑圧する劣性変異としてsms1-sms11の遺伝子座を同定した。複数のsms変異がタイプ1プロテインフォスファターゼをコードするdis2遺伝子の過剰発現により抑圧された。またmes1のマルチコピーサプレッサーとして、DNA修復後の細胞周期の再開を制御することが示唆されているslp1遺伝子と、α-tubulinをコードするnda2およびβ-tubulinをコードするben1遺伝子を単離した。4.分裂酵母mam4遺伝子はRasタンパク質や接合フェロモンを修飾するメチルトランスフェラーゼをコードする。mam4変異を機能的に相補する遺伝子を種々の脊椎動物のcDNAライブラリーを用いて検索し、アフリカツメガエルよりmam4の相同な遺伝子(Xmam4)を単離した。またEST(expressed sequence tags)プロジェクトによりマウスにおけるXmam4の相同遺伝子が報告され、この遺伝子のファミリーが酵母から哺乳動物まで保存されていることが明らかとなった。5.分裂酵母の減数分裂期の染色体の挙動を蛍光in situ hydridization法により解析し、接合フェロモンのシグナルにより、テロメアがSPB(spindle pole body)の近くにクラスターを形成することを示した。
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