アフリカツメガエル卵より、DNA複製開始蛋白質(DNA unwinding factor)を単離し(140kDaと87kDaのサブユニットからなる)、その87kDaのサブユニットのモノクローナル抗体の作成に成功した。この抗体を用いて、1)アフリカツメガエルの卵無細胞DNA複製系における細胞周期、および、2)アフリカツメガエルの胚発生、におけるDNA複製開始蛋白質の挙動を調べた。その結果、この蛋白質はDNA合成期(S期)の進行に伴って、細胞質から核のクロマチンに移動し、S期の終結に伴って、核から消失することが示された。また、この蛋白質は卵では細胞質に大量に貯蔵されていること、受精後、細胞質から核に徐々に移動し、胞胚期にはほとんどが移動を完了すること、のう胚期以後にこの蛋白質の新たな合成が起ること、等が明らかにされた。これらの結果はこの蛋白質の核での存在とDNA複製に相関関係があることを示し、この蛋白質がDNA複製に関与していることを示唆した。次に、DNA複製開始蛋白質の140kDaのサブユニットのポリクローナル抗体を作成し、免疫沈降により、アフリカツメガエルの卵無細胞DNA複製系を用いてこの蛋白質の機能を解析した。その結果、この蛋白質を除くと、DNA複製のDNA鎖伸長反応は阻害しないにもかかわらず、DNA複製は阻害されることが明らかにされた。このことから、この蛋白質がDNA複製の複製開始に関与していることが示唆された。
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