研究課題/領域番号 |
07680771
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小路 武彦 長崎大学, 医学部, 助教授 (30170179)
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研究分担者 |
中根 一穂 長崎大学, 医学部, 教授 (60164240)
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キーワード | マウス精巣 / 精子形成過程 / アポトーシス / in situ hibridization / 免疫組織化学 / Fas / Fasリガンド / エストロゲン |
研究概要 |
正常成熟雄マウス精巣、エストロゲン投与マウス精巣、lpr/lprマウスやgld/gldマウス精巣から凍結並びにパラフィン切片を作製し、Fas並びにFasリガンド発現をmRNA及び蛋白レベルで検討し、細胞死との時間的或いは空間的関連性について検討した。Fas mRNAの局在証明はマウスFas cDNAに、またFasリガンドmRNAの検出にはラットFasリガンドcDNAにそれぞれ紫外線照射を行いT-T dimer化してプローブとした。このT-T dimer法は我々が考案開発した方法で、高感度・高解像力でシグナルの検出が可能であった。一方Fas抗原並びにFasリガンド蛋白の検出は、マウスFasの細胞外ドメイン部位から選択して合成したペプチドをウサギに免疫して得られたポリクローナル抗体とラットFasリガンドの細胞内ドメイン部位のペプチドに対するウサギポリクローナル抗体を用いてそれぞれ免疫組織学化学的に行なった。その結果、正常マウス精巣ではNorthern blot法及びWestern blot法によりFas並びにFasリガンド発現が確認され、またin situ hybridization 並びに免疫組織化学によりFasはLeydig cells並びに一部の生殖細胞に検出され、FasリガンドはSertoli cellsに発現していることが証明された。しかしながら、これら遺伝子発現とin situ TdT等によるアポトーシス細胞出現との直接的な因果関係は認められず、lpr/lprやgld/gldマウス精巣等のFas系に遺伝的な欠陥をもつ精巣でもアポトーシスが生じていることと一致していた。一方、エストロゲン投与マウス精巣では投与後60-90日で顕著なアポトーシス細胞の出現が観察され、その際にはFas並びにFasリガンド発現が時間的にも空間的にもアポトーシス細胞と密接な関係をもつことを見い出した。これらの結果は、Fas系は異常精巣に於ける生殖細胞アポトーシスの誘導に関与することを示していると考えられる。
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