研究概要 |
赤芽球系細胞F5-5にレチノブラストーマ(Rb)遺伝子をサイトメガロウイルスプロモーター支配下にアンチセンスの方向で発現させた16クローンのうち14クローンまでがアクチビンに反応して赤血球に分化する能力を低下させていた。このことはRb遺伝子をターゲティングで壊したマウスで赤血球の最終分化がおきないことと同じ意味を持つと思われる。一方、我々はgoosecoid遺伝子を強制発現させた赤芽球系細胞F5-5gsc74-3でも赤血球への分化能が低下することを報告した。さらに、Rb蛋白質結合性の分子量約3,8000の分子がアクチビン刺激で減少することを見い出した。goosecoid蛋白質結合性の分子量約3,8000の分子もアクチビン刺激で減少することから、この分子量約3,8000の分子を介してgoosecoid蛋白質がRb蛋白質の機能を抑制しているとの仮設に基づきこの分子の性質を検討している。Rb結合性分子で血液細胞の分化に必要不可欠のものとして、etsファミリーの癌遺伝子がある。しかも、このファミリーの一つであるPU.1遺伝子をターゲティングで壊したマウスでT、Bリンパ球以外に赤血球の最終分化がおきないことが報告されている。また、Rb蛋白質結合性と考えられるbasic-Helix-Loop-Helixタイプの遺伝子で赤血球の分化過程で出現するSCLもこの分子である可能性がある。我々は、目的の分子の一つがPU.1であることを確認した。
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