本研究は、外腸胚形成ペプチドの機能を解明する目的で、外腸胚形成ペプチド結合蛋白の解析を試みたものである。まず、外腸胚形成ペプチド結合蛋白を精製し、そのN末端アミノ酸配列を決定した。このN末端アミノ酸配列等を利用して、RT-PCR法により外腸胚形成ペプチド結合蛋白cDNA断片を増幅した。このcDNA断片をプローブにして、未受精卵のcDNAライブラリーから外腸胚形成ペプチド結合蛋白遺伝子のスクリーニングを試みた。その結果、EBP-α、EBP-βの2種類のクローンを得た。これらのクローンDNAの塩基配列を決定した結果、この2種類のクローンDNAの塩基配列は、よく類似していた(96%ホモロジー)。また、他のウニで同定されている細胞外基質分子のHLC-32やbep4にホモロジーがあった。 EBP-αについてのノーザン解析を行った結果、未受精卵で強く発現し、プリズム期で一過的に発現上昇が見られたものの、発生が進むにつれて発現が低下した。また、ゲノミックサザン解析の結果、EBP-αとEBP-βは異なる遺伝子であることが判明した。 次に、組み替えEBP-α蛋白を大腸菌を用いて発現させた。この組み替えEBP-α蛋白は、外腸胚形成ペプチドに結合した。また、外腸胚形成ペプチドの活性を阻害した。これらの結果から、EBP-α蛋白は外腸胚形成ペプチドの結合蛋白であると結論づけられた。組み替えEBP-α蛋白をウサギに注射し、抗体を作製した。この抗体を用いて、間接免疫蛍光抗体法で予備的に調べたところ、EBP-α蛋白はウニ卵の卵黄粒に局在していることが判明した。今後は、EBP-α蛋白の局在性を免疫電顕法等によって、詳細に調べる予定である。
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